ガーディスト~続編~
第8章 視えない男(中編)
《お…とぅ…さん…》
ふと、どこからか声が聞こえた。
つばきは顔を上げると、キョロキョロと辺りを見回す。
(…気のせい…?)
「どうした?」
隣にいた祐司が声をかける。
「あ…ううん、なんでもない」
言いかけてつばきは言葉を引っ込めた。
なぜだか今は言わない方がいいと思った。
「おい、女」
男はつばきに呼びかける。
「ちょ…ちょっと、何なのその呼び方!あたしにはちゃんと末永つばきっていう名前があ…」
「つばき、今のうちにトイレ行っとけよ」
「…は!?」
「途中でコンビニとかは寄れないからな」
男はニヤニヤしながら言った。
「わ、わかってるよ!てか、いきなり呼び捨てやめてよね」
つばきは動揺しながら男を睨む。
「てゆか…あんたの名前、なんていうの?」
「何?そんなにオレのこと知りたいの?」
「は!? そんなんじゃないし///」
頬を赤く染めながら怒るつばきを見て、男はククッと笑った。