ガーディスト~続編~
第9章 視えない男(後編)
「ゆーじっ!!」
ハッとして、つばきは祐司の元に駆け寄った。
「ゆーじ!! しっかりして!!」
「う…」
「ゆーじ!!」
心配して肩を揺らすつばきの手を、祐司はそっと包み込む。
「…俺は、大丈夫、だ…」
「ゆーじ…」
つばきは手の温もりにホッとした。
少しふらりとしながらも、祐司はゆっくりと立ち上がる。
「一体、何が起こったんだ…?」
祐司は男に向かって言い放った。
「…おそらく…」
男は口を開くと、
「火之加具土神の弱点は、女性器だったってことだろ」
そう言ってニヤリと笑った。
「…え?」
祐司は眉間にシワを寄せる。
「あっ、もしかして…」
浅井がおもむろに口を開いた。
「それはあながち嘘じゃないかもしれませんよ?」
「どういう…ことですか?」
「神話をご存知ですか?
火之加具土神は、イザナギとイザナミとの間に生まれた神ですよね。で、火之加具土神は火の神様であったために、出産時にイザナミの陰部に火傷を負わせてしまうんです。これがもとでイザナミは死んでしまい、怒ったイザナギ に十拳剣「天之尾羽張(アメノオハバリ)」で殺されてしまうんですよ。
だから、女性器がトラウマになってるんじゃないでしょうかねぇ」
「神様がトラウマって…」
明がクスッと笑った。