ガーディスト~続編~
第9章 視えない男(後編)
(…え、ちょっと待って。さっきあたしに《我の子を産め》って迫ってきてたよね?見るのは駄目だけど、触るのは平気ってこと??)
「…わけわかんない…」
つばきは思わず呟いた。
「ま、何にしろ、火之加具土神はもういない…てことで、お前に一つ忠告をしておく」
「忠告?」
「神降ろしには代償がつきものだ。運が良ければ高熱、悪ければ…死んでしまうこともある」
「…っ!」
「ちょ…ちょっと!それを初めに言いなさいよ!!」
つばきが男に食ってかかる。
「てゆか、あんたが勝手にゆーじに神降ろししたんでしょ!?」
「ああでもしないと、全員死んでた。それとも、見ないふりでもすれば良かったのか?」
「…っ」
男の言うことには一理ある。
つばきはそれ以上言い返せれず口を紡いだ。
「いいか、絶対無理はするな。でないと死ぬからな。それを一度乗り越えれば、次からは大丈夫だ」
「…次?もう俺は神の力など借りない」
「…ふん、悪霊を相手にした奴のセリフじゃないな。人間の力だけじゃどうにもならないことがあると、その身でわかっただろうに」
「だけど…俺はそんなものに頼りたくない」
祐司は真っ直ぐな瞳で男を見据える。
「…」
2人はしばらく睨み合った。
「やめてください、2人とも…」
そこへ浅井が割って入る。
「元はと言えば、私が勝手な行動をしたのがいけなかったんです。私さえしっかりしていれば、村上さんが神降ろしをすることもなかったんです…」
「いえ、謝らないでください。俺があなたから少しでも目を離したのがいけなかったんです。それに依頼人を命をかけて守ることが、俺の任務ですから…」
「村上さん…」
浅井は祐司を優しい眼差しで見つめた。