ガーディスト~続編~
第1章 死んでもストーカーする男(前編)
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櫛が長い髪の間をすり抜けた。
何度もとかれた黒髪は、次第にツヤを増していく。
鏡の前に、髪の長い女が座っていた。
自分の姿を見つめうっとりとしている。
「あなたは私、私はあなた」
女は鏡の中の自分の顔に手を添えた。
そしてそっと口づけする。
「素敵よ、綾」
女の口元が緩んだ。
───────────────
───────────
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8階建てのマンションに、一台のBMWが停車した。
「じゃあ、よろしくお願いします」
祐司は運転席に座っている圭吾にひとこと言うと、護と共に車から降りる。
圭吾は左手を挙げると、そのまま進行方向に走り出した。
「やっぱりこうなったか」
護は不機嫌そうに、マンションを見上げた。
電話がかかってきたのは、綾からだった。
昼間シャワーを浴びている最中、物音がしたので洗面所に出てみたら、鏡にあのストーカー男が写ったのだそうだ。
男はすぐ消えるように居なくなったらしいが
、不安なのですぐ来てほしいと電話があったのだ。
そしてそれを聞いた圭吾は、「確かめたいことがある」と一人警察に事情を聞きに行くことに。
祐司と護はエントランスに着くと、綾に教えてもらったパスワードを入力した。
ドアが開き、奥のエレベーターに乗り込む。
5階のボタンを押しドアを閉めようとすると
、突然バッと人の手が飛び込んできた。
「!!」
慌てて護は、開のボタンを押す。
ドアが開かれた後その場に立っていたのは、つばの広い帽子を被った女性だった。
「すみません」
女性は頭を下げ、エレベーターに乗り込んだ。そして4階のボタンを押す。
狭い空間に、沈黙が訪れた。
「……」
祐司は後ろから女性の姿を見つめた。
帽子からはみ出た黒髪、そして着ている服、佇まい…どこか綾に似ていると思った。
櫛が長い髪の間をすり抜けた。
何度もとかれた黒髪は、次第にツヤを増していく。
鏡の前に、髪の長い女が座っていた。
自分の姿を見つめうっとりとしている。
「あなたは私、私はあなた」
女は鏡の中の自分の顔に手を添えた。
そしてそっと口づけする。
「素敵よ、綾」
女の口元が緩んだ。
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8階建てのマンションに、一台のBMWが停車した。
「じゃあ、よろしくお願いします」
祐司は運転席に座っている圭吾にひとこと言うと、護と共に車から降りる。
圭吾は左手を挙げると、そのまま進行方向に走り出した。
「やっぱりこうなったか」
護は不機嫌そうに、マンションを見上げた。
電話がかかってきたのは、綾からだった。
昼間シャワーを浴びている最中、物音がしたので洗面所に出てみたら、鏡にあのストーカー男が写ったのだそうだ。
男はすぐ消えるように居なくなったらしいが
、不安なのですぐ来てほしいと電話があったのだ。
そしてそれを聞いた圭吾は、「確かめたいことがある」と一人警察に事情を聞きに行くことに。
祐司と護はエントランスに着くと、綾に教えてもらったパスワードを入力した。
ドアが開き、奥のエレベーターに乗り込む。
5階のボタンを押しドアを閉めようとすると
、突然バッと人の手が飛び込んできた。
「!!」
慌てて護は、開のボタンを押す。
ドアが開かれた後その場に立っていたのは、つばの広い帽子を被った女性だった。
「すみません」
女性は頭を下げ、エレベーターに乗り込んだ。そして4階のボタンを押す。
狭い空間に、沈黙が訪れた。
「……」
祐司は後ろから女性の姿を見つめた。
帽子からはみ出た黒髪、そして着ている服、佇まい…どこか綾に似ていると思った。