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　　ビシッ
　歩睦の首と肩に当たる。

「てっ！！」
　首を押さえよろめく歩睦。

「ぐぐっがあ゛ぁぁぁ」
　剣道では聞いた事のない叫び声を上げながら、北沢が竹刀を振り回す。


（おかしい…）
　歩睦は竹刀で、攻撃を受けながら、間合いを取りながら、自分の攻撃態勢を整える。

「おらおら！」
　北沢の攻撃が雑になってくる。


「おい…中学の決勝見てみろよ…」
「なんだ？あれは、ガキのチャンバラじゃんか…」
「レベル低い…」
　周りで観戦している人たちが冷ややかな見解を言っている。


（変だ！北沢君はこんな試合しないはず）
　歩睦は面金越しに相手の顔を見る。

　ほとんど表情がない北沢は竹刀を闇雲に振りながら、歩睦に襲い掛かる。

「ぐぐあ゛ぁぁ」
　北沢は歩睦に突進してくる。

　　ドンッ

「わっ！！」
　歩睦を突き飛ばす。

　　ガッガシャ！！
　歩睦は壁にぶつかる。

「場外！やめ！」
　主審が試合を止める。

「土居！逃げるなぁぁ！！」
　北沢は歩睦に向かってくる。

「き、北沢君。開始線まで戻りなさい」
　主審が静止する。

「ハァハァ、すみません…」
　北沢は主審に一礼して、開始線に戻る。