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精霊と共に 歩睦の物語

第7章 夏の剣道大会…

「いたたぁ」
 歩睦は、少し肩を擦りながら立ち上がる。

「土居君、大丈夫ですか?」
 副審が歩睦の側まで来る。

「はい、大丈夫です」
 副審に一礼して、開始線まで戻る。



「始め!」
 試合が再開した。

「やぁああ!」
 竹刀を振り回す北沢。

 歩睦は予測不明の竹刀を自分の竹刀で払い、自分の間合いに持っていく。

 北沢は間合いを取らずに、竹刀を振る。
 間合いを取る歩睦。

「ぐぐあ゛ぁぁ」
 北沢と試合にならない。

「く、くそ!」
 歩睦は苦肉の策で胴を打つ。

「胴あり!」
 主審が旗を上げる。

 オーっと観戦者が声を上げる。

 肩で息をする両選手は、竹刀を激しく打ち合う。

 ハァハァ…
(空間がおかしい。境界線がみえない…)
 歩睦は面越しに周りを見る。

「歩睦!打ち続けろ!」
 歓声の中で監督の声が小さく聞える。

(監督の声が遠い……ん、暖かい…)
 胸にしまっていたペンダントが熱を持っている。

(あ!)
 歩睦は自分の身体が光に守られている気が付いた。

「せやああ!」
 北沢の気合が聞える。

「くっ!!」
 歩睦は我に返り、後ろにすり逃げる。

「逃げるのか!」
 北沢が大声を出す。

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