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精霊と共に 歩睦の物語

第7章 夏の剣道大会…

 そのオーラは、鼻に付く異臭を放っている。

 そのオーラに少しだけ触れた観客が真っ黒な塊になっていく。

 北沢が歩睦の方に竹刀を向けると、黒い塊は人型にかわり、襲ってきた。

「わぁ!!」
 歩睦をステージの方に突き飛ばす。


「キャー」
 それを見ていた観戦者や選手達が慌てて逃げ出す。



「いたた…」
 歩睦が起き上がる。

「歩睦!大丈夫か?」
 楓が歩睦の所に走ってきた。

「だ、大丈夫です…北沢君が…」

「うん、分かっている」
 楓は歩睦の防具の紐を次々と外す。

「今は、逃げるが勝ち!」
 楓に手を引かれ体育館から外に出るために立ち上がる。

 それに、今まで見た事がない黒い人型が歩睦に向かって襲ってくる。

 襲われても、胸のペンダントから出ている光に守られて怪我はしない。

「はっ!やぁ!」
 楓がその動く物を倒しながら先に進む。


 空間がおかしい。
 いくら歩いても体育館の中から出られない。


「あ!」
 逃げている途中に、卓球台の後ろに隠れている実を見つけた。

「実!」
「実ちゃん」
 歩睦と楓が二人に駆け寄る。

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