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精霊と共に 歩睦の物語

第9章 武器を取れ!

 光る塊の輝きが落ち着いて、歩睦の掌にストンと落ちた。

「あ!」
 急に掌に重みを感じ、目を開いた。

「これが僕の武器…」
 初めて見る、自分の武器は包丁位の短剣だった。

「案外…地味だね…」
 歩睦は短剣を握る。

{それは『歩睦の剣』歩睦が歩睦のためにしか、使えない特別な『剣』だよ}
 ユディルは、歩睦に武器の説明をする。

「僕が僕の為だけ使える剣…」
 歩睦が短剣を覆っていた鞘を外す。
 石を削って出来たようなシンプルな短剣。

{イメージすれば形は変わるよ!}

「イメージ…」
 歩睦は剣道の竹刀をイメージしてみた。

 短剣が輝き剣道の竹刀の形に変わる。

「おう!」
 歩睦は竹刀を振って具合を確認する。

{詳しい説明は要らないみたいだね}
 ユティルは歩睦の周りを飛びながら回る。


「よし、これで、北沢君に接触できる」
 竹刀を持ちなおして、立ち上がる。


「北沢くん!」
 歩睦が大きな声を出して、北沢に自分がいる事を知らせる。

「つ…ちぃ…くん…どうして、ココに…?」
 いきなりで驚く北沢の目に生気が戻る。

「北沢くん。僕と試合をしよう!」
 歩睦は目いっぱいの笑顔で、北沢に近づく。

「試合?…あぁ…そうだね!試合をする為にココにいるんだ…」
 北沢は『彷徨く者』の呪縛が薄くなり、身体に波打つ異形がなくなり、胴着と袴姿になる。

「よし、乗ってきた」
 歩睦が持っていた、竹刀を構える。

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