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精霊と共に 歩睦の物語

第1章 夏休みは部活だ!

「なー、歩睦の夏の大会のマークは、やっぱり北沢?」

「北沢くんと試合したいね」

「もちろん勝ちはやらないよな!」

「当たり前、その為の夏期練習だろ」
 歩睦が腕を高く伸ばし立ち上がる。

「おお!さすが優勝候補!」

「遥香も応援してくれているし、優勝するぞ!」

「彼女の応援かぁ…百人力だな」
 少し、うらやましそうな顔をする涼。

「彼女って、遥香はそんなんじゃない」
 歩睦は少し照れながらベンチに座り直る。

「一度ちゃんと聞きたかったのだけど、お前はどっちなのだ?」
 涼が歩睦の肩を抱く。

「どっちって、何のどっちだよ」
 暑苦しいので、身をよじる歩睦。

「分かっているくせに…ココなら、誰もいないからカミングアウトしろよ」
 歩睦の胸をツンツン押す涼。

「あーもう、そうゆう話ナシ!」
 歩睦は持っていたホットドッグを一気に口に入れる。

「ねーねー」
 しつこく涼は聞くが歩睦はわざと、モグモグと食べている。
 その姿を、さっきから誰かが見ている。

「歩睦ちゃん、見つけた!」
 ベンチの後ろからいきなり腕が現れ、歩睦を抱きしめる。

「うげっ!」
 歩睦の口から、ひかれた蛙みたいな声が漏れた。

「わぁ」
 涼はいきなり現れた人を確認する。
 現れたのは、楓。

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