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精霊と共に 歩睦の物語

第1章 夏休みは部活だ!

「先輩!?」
 歩睦は、腕を振り払うと息を整える。

「どうして、ここに僕が居るって分かったんですか?」

「ほほほ。私には歩睦ちゃんレーダーを装備してるからよ!」
 楓は歩睦を再び抱きつく。

「せ、先輩、止めてください。暑いですから」
 モガク歩睦。

 ワン!ワン!
 そこにワーンが尻尾を振って走ってきた。

「あら…迎えに来たの?」
 ワーンの頭を撫ぜる。

「ワーンを知ってるんですか?」

「うちの犬だからね」

「うちのって…も、もしかして、紅葉さんとお知り合いですか?」
 涼が恐る恐る聞く。

「紅葉?あぁ…」
 歩睦や涼の手にある包み紙を見て笑顔になる楓。

「家の料理食べてくれてたのね。うれしいな!歩睦ちゃんが食べてくれるなら、次は愛情たっぷりのを、私がつくるわ!」
 さっきまでホットドッグが入っていたバスケットを取ると、ウインクした。

「あの、僕の質問に答えてください…」
 おそるおそる涼が手を上げる。

「あ!そうね、紅葉は一つ上の従姉よ。私と同じように美人でしょ」
 人差し指をぽっぺにつけてポーズする。

「は、はい」
 涼は複雑な顔をしながら、起立して返事をした。


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