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精霊と共に 歩睦の物語

第9章 武器を取れ!

「北沢くん!こんなインチキで僕らの戦いを汚さないで!」
 歩睦が涙をいっぱい溜めた目で大声を上げる。


{霊力発動!!}
 歩睦が声を上げた瞬間ユティルが輝く。


 その光を浴びると、黒い影が引き剥がされる。


「つ、土…いくん…」
 北沢が正気に戻った。姿も元に戻っている。

「北沢くん!」
 歩睦がこの気を逃さないように、駆け寄る。

 歩睦の姿も袴姿に戻っていた。

「捕まえた」
 しっかり北沢の手を掴む。

 北沢の手が冷たい。

「北沢君。僕と一緒にココから出よう」
 歩睦は北沢の目を見つめながら言う。

「…でも、僕は…大会を滅茶苦茶にした…」
 現実を思い出したのか、苦しみだす北沢。

「大丈夫。大丈夫だよ!ココから、出れば…なんとかなる…」
 歩睦が北沢の身体を擦る。


  …逸材を渡すものか…
 黒い影が北沢の周りから消える。



「ねぇ…?誰かいませんか?」

 行きなり二人しかいなかったココに女の子の声が響く。

 二人はその女の子の声がしたほうを向く。


 顔は霞んで見えないが、まっすぐ近づいて来る人影が見える。

「誰だ…」
 北沢が女の子に話しかける。

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