
精霊と共に 歩睦の物語
第9章 武器を取れ!
歩睦は、再び何もない、白い空間に漂っていた。
(記憶の中の試合と、今見えている試合…)
(違う…)
(決着が着いている…)
(どうして…)
急に胸にある精霊石が暖かくなる。
(暖かい…)
そういえば、試合中も暖かかった。
…な…んじ…
声が聞えていく。
「誰?」
ユティルの声じゃない…
…汝…我が刃をその器に宿し者…
低い男性の声。
「誰だ?どこにいる?」
空間の見回す。
…われ…大地の刃なり…
「ヤイバ?あ…」
歩睦の胸の前に短剣が浮いている。
