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精霊と共に 歩睦の物語

第10章 元に戻れるものは、戻して…

 歩睦 視点

{歩睦!しっかりして!}
 ユティルの声が聞える。

「ユティル…」
 歩睦が手を差し出すと、その手にユティルが頬ずりする。

{ああ…こんなに焼けて…}
 ユティルが掌の火傷を回復し始める。

「あー痛みが消えていく…でも、結構…しんどい…」
 ふわふわ浮いているような感覚の歩睦。

{当たり前だよ、ほとんど、霊力ない状態で武器を巨大化させるんだもの…}
 今にも泣きそうなユティル。

「ご…めんね…」
 もう片方の手で撫ぜようと、近づける歩睦。

{あ!今は動かない方がいい。僕はあまり、回復の力がないから…}
 ユティルの方から歩睦の手を掴む。

{今だって、この輝きは石の力だし…}
 ユティルが見つめているのは、歩睦の胸。

 胸の上には、やさしいオレンジ色の光の塊



「…試合中に精霊石が反応した事を思い出したんだ…」
 歩睦が話し始めた。


「この石は『護りの石』と父さんは言った…僕は、僕を護ってくれる石だと思っていた…」



「でも…『護りの石』の本当の力は、精霊の力で…傷ついたコチラを護っているんだね…」


 歩睦は、誰かと話をしている。

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