テキストサイズ

精霊と共に 歩睦の物語

第10章 元に戻れるものは、戻して…

「では、今年の中学部決勝を始めます。選手!前へ」
 拍手があちこちから沸きあがる。

「歩睦。頑張れよ」
 涼が声をかける。

「ああ、がんばるよ」
 籠手を軽く当て、歩睦は試合に向かった。


『――赤 南中学二年北沢賢人君 白 東中学二年土居歩睦君――』
 館内放送が体育館に響く。

「兄ちゃん頑張れ」
 実のかわいい声援が聞える

 歩睦は二階席の方に腕を上げてその声援にこたえる。


 歩睦と北沢はお互いに向かい合い礼をする。

 3歩前に出て、竹刀を構えながら〈そんきょ〉をして剣先を交える。

 主審の「はじめ」の合図を待つ。

(北沢君…)
 歩睦は剣先の向こう側の北沢を見つめる。 

 生気のある目。

(良かった。北沢君の目だ)
 歩睦は嬉しくてニコッと笑った。

「はじめ!」

「せりゃあっ!」
「うらああ!」
 お互い立ち上がって試合開始。



試合は、




 土居 ド、メ――北沢 メ


      歩睦の勝利で終わった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ