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精霊と共に 歩睦の物語

第10章 元に戻れるものは、戻して…

「何考えてるのかな?」
 楓が歩睦の背中から抱きつく。

「北沢君の記憶が残ってる感じがしました…」
 歩睦は石の無くなったペンダントをグッと握る。

「罪悪感みたいに残ったかも…けど、大丈夫よ!お互いの力をぶつけたから、後悔はないでしょ?結果的に歩睦の方が強かったし!」

「試合…二度目でしたし、なんか悪くて…」

「『彷徨く者』の事なんか忘れた方がいいの!葉多地域の時間軸の歪みはないし!」
 楓はギュっと歩睦を抱きしめる。

「良かったです。僕も早く使いこなせるように…」
 歩睦の顔が晴れない。

「歩睦ちゃん…私から元気を分けてあげる!」
 楓が歩睦の頬にキスをしようとする。

「!!もう!コッチは真剣に悩んでいるのに!ふざけないでください!」
 妖しい楓の行動を嫌がる歩睦。


「早く使いこなせるように、私が手取り足取り、鍛えてあ・げ・る」
 楓が腰をグイッと引き寄せ。

「そのキャラやめて下さい!誤解されますって!」
 歩睦は、楓の腕を払いのけ逃げ出す。

「私の愛を受け取って」
 唇を突き出して、迫ってくる楓。

「だから、やめましょうよ」
 真顔で逃げる歩睦。

「あぁん」
 クネクネアピールする楓。


「またやってる…」
 いつもの風景を見ている涼たち部員。
 回りの人も笑っている。




「逃げ足…速い…」
 ハーハーと息を切らす楓。

 楓の側にワーンが控える。

「元に、もどったかしら…」 
 逃げる歩睦の背中を見て、ほっとしている楓。

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