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精霊と共に 歩睦の物語

第10章 元に戻れるものは、戻して…


 体育館の玄関ホールに家族が待っていた。



「お兄ちゃん!おめでとう!」
 実が歩睦に抱きつく。

「ありがとう!実の応援聞こえたぞ!」
 実の頭をなぜながら言う歩睦。


「お疲れさま…」
 景が両手をゆっくり顔にあてる。

「うん。頑張った!」
 歩睦がその手を触る。

「久しぶり…」
 景の視線は歩睦の肩に向いている。

 ユティルはフワッと浮いて帽子を胸に持ち一礼する。

「母さん…いろいろ聞きたいことがある…」
 歩睦が景を見つめる。

「そうね。いろいろ知ってもらわないと…」
 景が表情暗く笑う。

「さ!今日は歩睦くんの優勝祝いを河原でバーベキューをしましょう!」
 信司が明るい声で近づいてくる。

「河原!行く」
 嬉しそうな実。


「焼肉ですか?」
 楓が話に入ってくる

「楓君もいらっしゃい」
 信司が手招きする。

「いいんですか?」
 楓がチラッと紅葉を見る。


 紅葉はニコッと笑うだけ。

「歩睦の側にいてあげて」
 景が楓にお願いする。

「はい!」
 楓は背筋を伸ばし、一礼した。

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