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精霊と共に 歩睦の物語

第11章 記憶の…困惑

 歩睦 視点


(何だろう、頭の中に霧がかかっている…ユティル…)
 歩睦は心の中でユティルに呼びかけた。

{なに?}
 すぐ近くにユティルの声と気配を感じる。

(僕は、なにか忘れてはいけないこと忘れていない?)
 分法的におかしい言葉をぶつけてみる。


{…社(やしろ)で長老様に会おう。僕の口からじゃ、うまく説明できない}
 直ぐに、返事をしてくれるユティルが困っているのが、ヒシヒシ分かる。

(そうか…やっぱりなんかあったんだね…)
 背中を丸めた状態で、動きたくない歩睦。


 ゴロッと転がった、遥香の顔を思い出す。

「ぅぐっ」
 何かがあがって来そうになって口を押さえる歩睦。


 何も、吐き出さなかったが、胸が痛い。

(夢…最悪だ…)
 歩睦が頭を下にして、大きく深呼吸する。


「遥香…」
 歩睦が小さい声で呟く。


「なに?」
 遥香の声が聞えた。

「!」
 歩睦は下を向いていた顔をあげる。

 そこに不思議そうな顔をした遥香がいた。

「遥香!」
 歩睦は遥香の体をグイッと引っ張る。

「きゃ!」
 遥香はいきなり行動で対処できない。

「遥香。よかった…」
 歩睦は遥香をギュ~と抱き締める。

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