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「さて、歩睦様。お体は大丈夫でしょうか？」
　歩睦の前に立つ紅葉は、恭しく頭を避ける。

「あ、はい！大丈夫です」
　歩睦は体をブンブン振ってアピールする。

　紅葉の足元に二匹の犬を付いて来ている。

｛アユム様…ご無理をされると、お体に触ります｝
　一匹の犬が口をパクパクさせる。


「犬がしゃべった！」
　歩睦は目をパチパチさせながら後ずさりする。

｛アユム様。前にワタシどもとは前にも会っておりますよ｝
　もう一匹の犬が困った口調で言う。


「え？……」（そういえは…）
　歩睦は公園で聞いた声を思い出す。

｛ね！｝
　犬が嬉しそうに尻尾を振る。

（あの声、君たち…だったのか…）
　ジッと犬を見ている。


　二匹の犬は紅葉の横で尻尾を振っている。


「あの。まさか紅葉さんも僕の従者…」
　歩睦は紅葉の顔と足元の犬を指差す。


　紅葉はニコッと笑うだけだった。

「あー！」
　涼の大きな声が聞える。

「歩睦！！紅葉さんに何！失礼な事しているのだ」
　涼が飛び掛ってきた。

「わ！何にもしてないよ！」
　歩睦は涼の攻撃を寸前で交わす。