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精霊と共に 歩睦の物語

第1章 夏休みは部活だ!

    数時間前

ピンポーン
 玄関の呼び鈴が鳴る。

「はーい」
 景は玄関を開ける。

「お久しぶりです。景様…」
 全身黒スーツの男性が三人立っていた。

「何か…御用ですか?」
 こわばりながら、訪問した男に質問する。


「お助け願います」
 男性が頭を下げる。

「…中で話を聞きましょ、どうぞ…」
 景は近所の目を気にして、家の中に招いた。


 部屋の中に入ると、ソファーに景が座る。
「で、どうしたの?」

 男性の一人がタブレットで3D映像を出す。
「はい。“ワイト”が生まれました」

“ワイト”とは、やつれ果てた屍のごとき姿をしたアンデッドで、その攻撃には犠牲者の精神力を奪い取る力がある。
あらゆる生者に対して強い憎しみを抱いており、暴力的に襲い掛かってくる。


「……そう…とうとう…」
 景は、3Dの映像を見ている。

「お父様は…」

「精霊核の守護に入っております」

「だから、私か…」

「申し訳ございません、我々では“ワイト”には歯が立たちません」
 再び頭を下げる男性。

「あなた達を攻めてる訳じゃないのよ」
 男性の反応に少し困った顔をする景。

「『定めの刻』までの平穏な時間は…どんな事をしても、守らなくちゃ…」
 景は胸元からペンダントを出して、グッとにぎる。

「わかりました。いきましょう!」
 景は、束ねていた髪をほどいて立ち上がった。

「よろしくお願いします」
 男性は、深々と頭を下げる。

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