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精霊と共に 歩睦の物語

第2章 少しずつ動き出す輪

     *****

 夜中 目が覚めた歩睦。

「ん…今何時?」
 時計をみると二時過ぎで居た。

「…あちぃ…」
 ベッドから出て、水でも飲もうと部屋を出た。

 二階の冷蔵庫に入っている麦茶を出して飲んでいると、一階に電気がついているのが、階段から見える。

(電気消してない…)
 電気を消しに階段を下りる歩睦。

 半分くらい降りたとき、両親が話しているのが聞えてきた。

(こんな夜中に何話しているんだろう…)
 歩睦は、聞き耳を立てる。



「…そうですか……」

「うん、ワイトが現れた…」

「じゃ、『刻』が近づいているんですね…」

「『門の戦い』なんて…もうイヤ」

「景…大丈夫だよ、お父様方も動いている。それに…今、君が弱気になったら誰が歩睦と実を護るんだ」

「そうね…弱気になってごめん…」

「二人にはこれを持たせた方がいいな」

 テーブルの上に何か置く音が聞える。

「そうね…歩睦はともかく、実には自分で護れないものね…」

「僕も、なるべく早く帰るから…」



(声が小さくて…聞えにくい…)
 歩睦は、話し声を聞こうと、身を乗り出す。


「歩睦君。話を聞きたいなら、下りておいで」
 信司は、階段のほうに向かって声がかける。

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