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精霊と共に 歩睦の物語

第2章 少しずつ動き出す輪

(あ、見つかった…)
 歩睦はしまったと思いながら、階段を下りる。

「おそよう…」
 歩睦は頭をかきながら、リビングに入る。

「ここにきて…」
 信司はリビングのテーブルの所に歩睦を呼ぶ。

 歩睦は信司の側に行く。

「歩睦君。立ち聞きは、よくないですよ」
 いつもニコニコしている、信司がまじめな顔をしている。

「ごめんなさい…」
 歩睦は猫背になって、シュンとする。

「よくない事けど、今回は怒りません。僕達も、歩睦が降りてきたことに気が付くのが遅かったし、緊張感がなかった…」
 ふうと、息を吐く信司。

「……信司…今が良くない?」
 景は、少し考えてから言う。

「そうだな…いずれ『刻』がくれば話すことだし…歩睦も中学生だ。受け止めれるだろう…景、コーヒーを頼む」
 コーヒーカップを景に渡す信司。

「分かったわ」
 キッチンに行く景。

 いつもと違う空気に歩睦は戸惑う。
 信司は基本母を呼び捨てで呼ばないし、いつもより口調が男らしい。

「どう、どうしたの?なんかあったの?なんだか、雰囲気違う…」
 恐る恐る歩睦は質問する。

 信司は、黙ったまま景を待つ。

 景は、アイスコーヒーと麦茶をお盆に載せてきた。

 景が椅子に座ると、信司はゆっくり話し始めた。

「歩睦。今から話すことは、ちょっと難しいし、実感はわかないだろうけど、ゆっくり聞いてくれ」
 信司はコーヒーを一口飲んで話し始めた。

「歩睦は覚えているかい?七五三の儀式…」

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