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精霊と共に 歩睦の物語

第2章 少しずつ動き出す輪

「儀式?」

「ご神体の精霊核の前で、守護精霊との契約の儀式…」

「覚えていない…」

「そうか…儀式の事は、また話すとして…今の状況の説明をしよう」

「昨日…“ワイト”と呼ばれる負の精霊が古文書を奪いに、この地に進行している事がわかって、阻止するために戦っていたんだ」

「ワイト?」

「やつれ果てた姿をした人型のアンデッドだ」

「アンデット!ゾンビなの!」

「歩睦には、その方が分かりやすいかな」
 はははと笑う信司。

「映像があるわ」
 景は、タブレットを持ってくる。

「これが…ワイト…」
 歩睦はタブレットの映像を見ている。

 映像の“ワイト”は衣服がボロボロ、人の形をしているけど、性別も分からないような、腐敗した死体が歩いている。

「今日のワイトは二次的タイプだったから、親はまだ居る」
 景は、胸のペンダントを触りながら言う。

「親って?」

「姿は普通の人だけど、目に生気がなくて、力が異様に強い。僕達は『門』を求めた古のハナだと考えている」
 信司が補足する。

「…変で普通の人ぽい…あ!今日、会ったかも…」
 歩睦は、今日学校に行く途中に会った人を思い出す。

「なに!どんなヤツだった」
 信司は、身を乗り出す。

「えっと、男の人で、瞳の焦点がなかった…後、「力を効率よく使え」とか何とか…」
 掴まれた腕を触る歩睦。

「攻撃されたのか!」
 信司は、歩睦の腕をみる。

 ケガはないようだ。

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