無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

　ふわっといい匂いがする。


「あ！いい匂い…」
　誘われるように、キッチンに行く歩睦。



「おはよ、飲み物は自分で入れる？」
　母の景がテーブルに朝食を運んでいる。

「はーい」
　歩睦はコーヒーメーカーからコーヒーを注ぎ冷蔵庫に向う。

「カフェオレ！カフェオレ！」
　コーヒーに牛乳をたっぷり入れる。



「ただいま」
　弟の実が“小学生朝のラジオ体操”から帰ってきた。

「お帰り」
　景が向える。

「良い匂い！今日はフレンチトーストだ」
　実はお皿の上のトーストに手を出す。

「手を洗ってきなさい」
　景に注意される。

「はーい」
　手を洗いにいく。

「洗ったよ！」
　両手を、景に見せる実。

「はい。食べましょ」
　景は実の前にホットミルクをおく。

「いっただきまーす」
　実は、フォークに二枚刺すとガブッとくわえる。

「おいしい！」
　実は、ニコニコ食べる。

「そんなに急いで食べなくても、トーストは逃げませんよ」
　信司は笑顔で言う。