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精霊と共に 歩睦の物語

第3章 せっかくの休みなのに

     *****

「行ってきます」
 実は、友達とプールに出かけていった。

「いってらっしゃい」
 景は玄関で手をふって見送る。

 歩睦はソファーの上でうつ伏せになって漫画を読んでいた。

「歩睦。部活ないんだから、宿題済ませといたら?」
 洗濯物を干し終わった景が横を通りながら言う。

「うーん。やるやる…」
 生返事しかしない歩睦。


ピピピィ ピピピィ
 歩睦の携帯がなる。

「もしもし…」

  「歩睦。遊びに行こう!」

 電話を掛けてきたのは、涼だった。

「どこに?」
 歩睦は肩と耳の間に携帯を挟むと、漫画の続きを読む。

  「噴水公園いこう」

「紅葉さんの所だろ…」

  「分かってるじゃん!じゃ、10時に公園でおち合おうぜ」

「あ、おい!」
 歩睦が返事をする前に切られた。

「はー、たく…自分の用事だけ言って、こっちの都合きけよな…」
 あきれた顔しながら、歩睦は自分の部屋に戻る。

 部屋で出かえる構えをする。
 遊びに行くTシャツに着替えて、キャップとウエストショルダーをもって部屋を出る。


「出かけるの?」

「うん。涼が遊びに行こうって」


「宿題は?」

「帰ったらする」
 玄関でスニーカーを履く。

「ほんと?」

「ほんとほんと、いってきます」
 歩睦は逃げるように家を出て行く。

「もう…」
 景は玄関ではーっとため息をつく。

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