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精霊と共に 歩睦の物語

第3章 せっかくの休みなのに

「や、やめて」
 歩睦は男の手外そうと両手で抵抗する。

 男の手が冷たく、首に食い込んでくる。

「ググッ苦しい…」
 男の腕の力だけで、歩睦の体が少し浮く。

「さあ、お前の力も私の物に」
 男がさらに力を加える。

 歩睦の胸のペンダントが激しく輝き、バチッと電流が男の手を弾く。

「お前…」
 男はビリビリと震える手を見る。

 歩睦は、ゲホゲホ咳き込みながら、首を擦っている。

「…護り石…なるほど」
 男は歩睦の胸のペンダントを睨みつける。

「なんなんだよ、あんた…ゴホゲホ」
 歩睦は苦しそうに咳き込む。

「俺は内なるレアの力を解放した者!もっと手に入れたい!」
 男は、不適に笑う。

「レ、レア?」
 レア(珍しい)という意味の英語。それが何を指しているのかは分からないが、この男は危険だというのはすぐわかる。

「お前もレアの力を持っている…」
 男は、歩睦に迫る。

 その男の顔がどんどんタブレットで見たワイトのようになっていく。

「ワイト!まさか、親!」
 歩睦は腰をすりながら、後ずさりする。

「お前は私と共にこい!」
 男が歩睦を掴もうと手を伸ばしてくる。

「いやだ!」
 歩睦が叫ぶとペンダントから物凄い光を放つ。

「ぐわぁぁ」
 その光を受け、体が溶け出す男。


(いまだ、今逃げないと…)
 歩睦は急いで、その場から逃げる。


「ガルゥゥゥ」
 男の口からはドロドロの液体が垂れている。


「がぐ、ぐぅ…俺は、選らば…者…っ…はーはー…俺としたことが…く、あんなガキに取り乱されるとは…」
 身体をゆらゆらと揺らしながら、スーツ姿に戻る。

「…ガキが…あのガキ…!」
 男は、見る見る鬼の形相になる。

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