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精霊と共に 歩睦の物語

第3章 せっかくの休みなのに

     *****

 歩睦は急いで木の後ろに逃げ込む。
 息を殺して、状況を見る。
 涼はそのままの姿で倒れている。
 男はゆらゆらと揺れながら、そして姿がスーツ姿に戻っていく。

(なんか、ホントにヤバイ…)
 歩睦は無意識にペンダントを触っていた。

(父さん…母さん…あの時の話…本当だったんだ…)

「どうしよう…」
 歩睦は小さく呟く。


「力ある者を見つけた!取り込め!」
 男の周りに、似た姿の男性が集まってくる。
 そして、バラバラに離れていく。


(ヤバサ増量!)
 歩睦は、急いで携帯を出した。
 携帯で110に電話をかける。

『おかけになった番号は、電波の…』

「ありえない!」
 携帯の画面を確認する。
 確かに110をコールしている。

(なにかの陰謀か!)
 再びコールを押すが、どの番号も同じ返答をする。

「どうしよう…だれか、助けて…」
 携帯を両手で握りしめる。

  「もしもし?…もしもし?歩睦?」
 持っていた携帯から景の声が聞える。

「あ、かあさん!」
 歩睦は急いで電話に出る。

  「どうかしたの!」
 携帯から聞える景の声は、いつもよりしっかりした声。

「今、変な男…そうワイトがぁ、あ!どうしよう、涼を助けないと!」
 今の状況を景に伝えたい歩睦だが、あせって、言葉が変になる。

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