
精霊と共に 歩睦の物語
第3章 せっかくの休みなのに
「落ち着いて!涼君は、捕まっているの?」
景は、慌てた声の歩睦を落ち着かせるように、優しくいう。
「ううん、地面に投げられた」
「…涼君は誰かに向かってもらうから…」
電話の向こうで、ガチャガチャ音がする。
「歩睦は今すぐ、逃げなさい」
「何処に?」
「とりあえず……」
歩睦は景と話していて、そのすぐ近くの木の陰から、男が近づいてくるのを気がつかない。
「こんな所に隠れていたのか?」
男が歩睦の背後に立つ。
「え?」
歩睦が振向くと、怪しく光る瞳の男が歩睦を捕まえようと腕を伸ばしていた。
「わぁ!」
歩睦は身構える。
ワン!ワン!ワン!
一匹の犬が吠えながら男に飛び掛った。
ガァゥ!ググゥッ!
男の着ている服に噛み付き離さない。
「…低級…の分際で…邪魔をするな!」
男は犬をふりまわしている。
「犬が助けてくれた?」
首輪をしているのが見える。
(あの犬。紅葉さんと一緒に居たワーンかな?)
さっきまでの穏やかな表情からは想像できない位、牙で、噛み付いている。
…今のうちに逃げて…
「!」
歩睦は急に聞えてきた声で、あわてて逃げ出す。
「逃げられるものか!」
男は、片手を上げる。
その手の中に怪しい光がゴォッと音を立てながら集まっていく。
景は、慌てた声の歩睦を落ち着かせるように、優しくいう。
「ううん、地面に投げられた」
「…涼君は誰かに向かってもらうから…」
電話の向こうで、ガチャガチャ音がする。
「歩睦は今すぐ、逃げなさい」
「何処に?」
「とりあえず……」
歩睦は景と話していて、そのすぐ近くの木の陰から、男が近づいてくるのを気がつかない。
「こんな所に隠れていたのか?」
男が歩睦の背後に立つ。
「え?」
歩睦が振向くと、怪しく光る瞳の男が歩睦を捕まえようと腕を伸ばしていた。
「わぁ!」
歩睦は身構える。
ワン!ワン!ワン!
一匹の犬が吠えながら男に飛び掛った。
ガァゥ!ググゥッ!
男の着ている服に噛み付き離さない。
「…低級…の分際で…邪魔をするな!」
男は犬をふりまわしている。
「犬が助けてくれた?」
首輪をしているのが見える。
(あの犬。紅葉さんと一緒に居たワーンかな?)
さっきまでの穏やかな表情からは想像できない位、牙で、噛み付いている。
…今のうちに逃げて…
「!」
歩睦は急に聞えてきた声で、あわてて逃げ出す。
「逃げられるものか!」
男は、片手を上げる。
その手の中に怪しい光がゴォッと音を立てながら集まっていく。
