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精霊と共に 歩睦の物語

第3章 せっかくの休みなのに

「ポーション!」
 ゲームのアイテムをイメージしている歩睦。

「そんな感じ。服も元に戻ってるでしょ」
 歩睦は焦げて敗れたTシャツが元に戻っているのに気づく。

「おー」
 服も元に戻っているし、背中も痛くない。ちょっとビックリしている。

「ほら、擦りむいた所は薬塗るから、腕出して」
 歩睦を手招きする。

「あ、すみません」
 楓は手際よく怪我の処置をする。


「あの、先輩…」

「うーん、なに?」

「どうして、ココに?」

「…ま、いろいろね…」

「いろいろって…」

  ゴォォォ!ドォン!

「爆発!」
 歩睦が深く質問をしようとすると、外で爆発する音がする

 窓から外を見ると男が数人ウロウロしている。

「ここも安全じゃないね、こっちきて」
 楓はソファーの下から隠し扉を出し、開ける。

「歩睦ちゃんは、ココから逃げるのよ」
 公園から歩睦を逃がそうとする歩睦。

「でも…」

「いいの!今は言うことを聞いて!」
 楓は真剣に言う。

「歩睦ちゃんは、私…私達の大事な人よ。この抜け道を抜けると、兄さんが待ってるから、後は兄さん達の指示にしたがって」
 無理やり押し込むと、扉を閉めようとする。

「楓先輩!」
 扉を両手で押さえて顔を出す歩睦。

「大丈夫よ。明日の練習に涼と一緒にちゃんと行くから…そんな顔しないで」
 頭を撫ぜて扉をしめる。

「…気をつけて…」
 歩睦は、真っ暗の地下室に一人になる。

「……僕はなんか特別な力があるみたいだ…」
 ぶつぶつ呟いていると、ペンダントの石が優しく光りだした。すると、真っ暗だった通路に等間隔に小さい光がついていく。

「進めって事かな…現実的RPG。ダンジョンですね」
 歩睦は光に導かれるように、四つん這いで進みだした。

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