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精霊と共に 歩睦の物語

第4章 橘様の浴衣の夜会

     *****

 その頃、どこかの神殿では赤紫のローブを身につけた神官が水晶を覗いていた。

………ん、力の乱れが見える…

…ごきげんはよろしいですか?
 暗闇から女が近づいて来る。

…戻ったのか…

「はい、マスター」
 女は、ユラユラと輝く光の入った杯をローブの神官の前に差し出す。

…ご苦労…
 神官は杯を受け取ると、水晶に注ぐ。

 水晶は怪しく輝いている。

…もっとだ…もっと集めよ…
 神官は両手をあげる。

「お任せください…」
 女は一礼して、その場を離れる。


……わが神の復活の礎にしてやるわ…
 女はニヤリと笑っていた事を誰も知らない。

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