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精霊と共に 歩睦の物語

第4章 橘様の浴衣の夜会

     *

「はい、食べたらこれ着てね」
 景は肌襦袢を二人に渡す。

「肌襦袢…」
 柾季は困惑する。

「“さらし”を巻くんじゃないんだ?」
 歩睦がボソッと言う。

「遊びなら“さらし”で少し補正をするとかっこいいかもしれないけど、踊るのよ!汗かくわ。着なさい!」
 景は、使う紐類を椅子に掛けてほかの小物は別々に箱に分けていく。

「はーい」
 着替えている二人。


「二人とも、肌襦袢きた?」
 景は姿見の鏡を持ってくる。

「はい…」
 二人は、着慣れない肌襦袢をきて恥ずかしそうに、鏡の前に立つ。

「シャキットする!」
 景が、二人の後ろに立ち、姿勢を良くしていく。

「今から、粋ないい男になるんだから、足は肩幅ぐらい開いて堂々としなさい」
 景は一人で二人の浴衣を着せ始めた。

 二人は景の素早い着付けにただ、ジッとしているしかなかった。

浴衣をはおり、肩からまっすぐ落ちるように整え、
背中の中心がずれないように気をつけて、
まず右手で持った上前を左脇にいれます。
左手で持った上前を、前に持っていき重ねます。
のどの下のくぼみが見える程度にしっかり衿を合わせる。

「ココ持ってて」

「はい」

紐を腰骨の上辺りを押さえるように付け、
前から後ろに回して交差して、
前へ持ってきて、ギュっとしばる。
 気持ち、後ろ上がりにまわしましょう。

体の中心から少し横で左右を重ね、
下の紐を体側の紐に下から二重に回してからめます。
左右を逆に引き、
紐の残りを脇に挟みこむとすっきりさせる。
背中の中心がずれないように、
余ったところを脇へ持っていきます。

しわを脇に寄せたり、
衿を深く合わせたりして前も整える。

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