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「こんにちは！菜畑さん！」
　景が遥香の家の玄関で、声をかける。

「はーい。今行きます」
　遥香の母が出てきた。

「家のお姫様たちをよろしくお願いします」
　遥香の家は花屋をしている。
　だから、今日は店がとても忙しい。

「任せて」
　遥香の母と景は話している。

「おまたせ…」
　遥香の声がした。
　歩睦が玄関の方を見る。

　遥香は古典的な和柄をモチーフとしていますので全体的に落ち着いた雰囲気の薄ピンクのパステル浴衣をきて出てきた。

　歩睦は、いつもと違う雰囲気に言葉の出ない。

「変？」
　遥香はアップにした髪を少し触りながら、勝手が違うから照れてる。

「う、ううん！とてもかわいいよ！」
　歩睦が返事をする。

　遥香の後ろに翼女が隠れている。

「翼女ちゃん、柾季きたよ」
　遥香がクイッと前に出す。

「あ！」
　履きなれない下駄によろける翼女。

「あぶない」
　柾季はふわっと支える。

「あ、ありがとうございます」
　真っ赤になった翼女。
　二人は両思いだけど、言い出せない関係らしい。

「ほら、いつまでもくっつかない！」
　二人を引き離す景。

「会場までは歩いていくわよ」
　景は、実の手を引きながら歩き出した。

「いってらっしゃい！」
　遥香の母が手を振る。