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精霊と共に 歩睦の物語

第4章 橘様の浴衣の夜会

「橘様おめでとう」
 近所のおばさんたちが声をかけてくる。

「ありがとうございます」
 景はにこやかに微笑む。

 会う人会う人、声をかけてくる。
 景は、丁寧に対応している。

「なんか、皆に見られてると照れるな」
 柾季は歩睦に耳打ちする。

「確かに…」
 歩睦も、ちょっと照れている。


儀式に参加する男の子は橘の花の羽織を羽織る。
女の子は橘の花の簪をさしている。


ドンドンドン、ドドン、ドン!
ドンドンドン、ドドドン、ドン!


 遠くの方から太鼓の音が響き鳴る。
 活気付く出店は、様々な美味しい香りを放っている。

「お祭り見えてきた!」
 実が、にぎやかな光景に自然に心が弾み走り出す。

「実」
 景が実を捕まえる。

「何か食べる?」
 にこやかだけど、怖い顔の景。

「わた飴かな?」

「実はお母さんの側から離れないでね!」

「はーい」
 実は景と手を繋ぐ。


「あった!おじさん、二つ!」
 わた飴を作っている屋台に景をつれて駆け寄る実。

「あいよ」
 おじさんは持ち帰りの袋に器用に入れ、実に渡す。

「ありがとう!」
 満足気にブンブン振り回している。

 景と実がわた飴を買って食べ始める。

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