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精霊と共に 歩睦の物語

第5章 花火を見るって大変

 橘の根付をつけたの姿は仲睦まじい恋人同士。
 すれ違う人たちが微笑んていた。

「は、恥ずかしい…」
 遥香はどんどん赤くなって、顔をあげられない。

「おいおい、そんな顔するなよ…こっちまで恥ずかしくなるだろ」
 歩睦が照れたような困った顔をしている。

「はいはい、二人の世界に入らない」
 楓が遥香と歩睦の間に割り込む。

「遥香ちゃん!足はもういいでしょ!」
 楓は、遥香の足を指差して指摘する。

「あ、はい…」
 下駄をコンコンと音を立てて鼻緒を詰める遥香。

「あの二人のためならゆっくり、時間かけていきましょ」
 先に行ったいる柾季たちが待ったいる所まで、なるべくゆっくり向った。


「……みぃーつけた…」
 わた飴をほおばる人影が見つめていた。


  ん?
 歩睦は不意に声が聞えたような気がして振り返る。

(なんだ…?)
 歩睦は、周りを見回す。
 側には話しかけてきたような人はいない。

(気のせいかな?)

「どうしたの?」
 遥香が、不思議そうな顔をして歩睦を見る。

「ううん。なんでもないよ」
 歩睦はみんなの輪に戻る。

「……」
 楓は、歩睦が見ていたほうを見ている。

「楓様…」
 近くにいた大人が楓に何か告げると、離れていった。


「先輩?」
 遥香は、楓の表情が気になる。
 二人が見ている方によくない事があるような気がしている。

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