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精霊と共に 歩睦の物語

第6章 戦いの前に、家族で…

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 今日は年に数回の実家訪問の日。

 途中で、実と景をひろって景の実家に向う。


 忙しいお爺様とお婆様が僕ら家族を招待して、晩御飯を食べるだけなんだけど、僕はとっても楽しみにしている日。


 でも、母さんは…家に近づくと、だんだん口かずが減り、黙ったまま風景をボーと眺めて乗っている。
 
 いつも、こんな感じ…。
 気になるけど、聞かない方がいい…気がする。

「お父さん、見えてきたよ」
 実が車の中から、指差す方に大きな鳥居が見える。

「いつ見ても、大きな鳥居ですね…」
 運転しながら、見あける信司。

「今日も社(やしろ)には拝礼しないの?」
 歩睦は小さく見える社を通り過ぎながら言う。

「社には、そのうちきちんと拝礼しましょうね」
 信司は真っ直ぐ前を向いた表情は見えない。

 社の周りをグルっと回った所に門があり、その門を潜ると、立派な日本家屋が現れた。

 その家の玄関まで行くと、数人の使用人が出てきた。

「お帰りなさいませ!」
 使用人たちが一斉に礼をして向かえる。

「お帰りなさいませ、歩睦様。実様」
 使用人が車の扉を開ける。

「あ、どうも…」
 歩睦と実が降りる。

「景様。旦那様が離れでお待ちです…」
 景にだけ伝言を伝える。

「わかったわ。信司さん、先に行ってて」
 景は、使用人と一緒に離れに向かっていった。

「た、ただいま…」
「ただいま~」
 歩睦は小さい声で、実は大きな声で、玄関に入る。

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