
精霊と共に 歩睦の物語
第6章 戦いの前に、家族で…
「あらあら、もう始めるの?」
梢は、法勝の側に近寄る。
「ああ、明日は歩睦の試合だからな、早めに休まさないと」
法勝は、着ていた羽織を脱ぎ梢の方に指し出す。
「ま!そんなうまい事言って…信司さんを独り占めしたいだけでしょ」
梢はブツブツ言いながら、法勝の羽織を受け取る。
「あ!お爺様の羽織に魚がいる!」
実が羽織の裏側に大きな「鯉」の刺繍を見つけた。
「ん。実よく見つけたな!これはな、元気いっぱい滝を登って龍になる縁起の鯉だぞ!」
法勝は梢から再び羽織を受け取ると、実に見えるように広げた。
「わー、かっこいい!着てみていい?」
実が目をキラキラさせる。
「ああ、いいとも!」
法勝は羽織を実るに着せる。
「わーい!ジャァン!」
実は、羽織をマントのように広げて、ポーズを決める。
「実には、まだ大きいな!」
法勝が笑いながら言う。
「そのうち大きくなるよ!」
脹れ気味の実は羽織をブンブン振り回す。
「ああ、実!汚したら大変。脱ぎなさい…」
信司が実を捕まえて、羽織を脱がせる。
「えー、もっと着てたいのに…」
ブツブツ言いながら素直に脱ぐ実。
サラリとした手触りの羽織。見た目よりずっと、軽やかな風合いをしていた。
「この羽織…珍しい色の組み合わせですね」
羽織を梢に渡す信司。
「そうでしょ、この青丹の色が気にいったの。この黄色は梔子(くちなし)の色なのよ」
梢は深緑に黄色の糸で亀甲十文字を織った本場大島紬の羽織を触りながら言う。
梢は、法勝の側に近寄る。
「ああ、明日は歩睦の試合だからな、早めに休まさないと」
法勝は、着ていた羽織を脱ぎ梢の方に指し出す。
「ま!そんなうまい事言って…信司さんを独り占めしたいだけでしょ」
梢はブツブツ言いながら、法勝の羽織を受け取る。
「あ!お爺様の羽織に魚がいる!」
実が羽織の裏側に大きな「鯉」の刺繍を見つけた。
「ん。実よく見つけたな!これはな、元気いっぱい滝を登って龍になる縁起の鯉だぞ!」
法勝は梢から再び羽織を受け取ると、実に見えるように広げた。
「わー、かっこいい!着てみていい?」
実が目をキラキラさせる。
「ああ、いいとも!」
法勝は羽織を実るに着せる。
「わーい!ジャァン!」
実は、羽織をマントのように広げて、ポーズを決める。
「実には、まだ大きいな!」
法勝が笑いながら言う。
「そのうち大きくなるよ!」
脹れ気味の実は羽織をブンブン振り回す。
「ああ、実!汚したら大変。脱ぎなさい…」
信司が実を捕まえて、羽織を脱がせる。
「えー、もっと着てたいのに…」
ブツブツ言いながら素直に脱ぐ実。
サラリとした手触りの羽織。見た目よりずっと、軽やかな風合いをしていた。
「この羽織…珍しい色の組み合わせですね」
羽織を梢に渡す信司。
「そうでしょ、この青丹の色が気にいったの。この黄色は梔子(くちなし)の色なのよ」
梢は深緑に黄色の糸で亀甲十文字を織った本場大島紬の羽織を触りながら言う。
