自殺旅行
第4章 個室生活
「ロマンチックだろ?」
『SD』はそう言って笑った。
「・・・・・・・・ううん。なんか・・・・・・ゾッとした・・・・・・」
理由は言わず私はそう応えて部屋の扉を閉めた。
が、『SD』はノックもせずいきなり扉を開ける。私はまた扉を閉めた。『SD』が開ける。私は閉める。『SD』が開ける。
閉めても閉めても閉めても閉めても閉めても閉めても閉めても閉めても閉めても閉めても閉めても・・・・・・・・。
ウンザリだ。私の顔からはとっくに笑顔など消えている。
「あれ~? ちょっと怒ってる~?」
分かっているではないか。
「ええ・・・・・・少し。呆れているとも言いますよ」
「ああそ~なんだ~~~・・・・・・」
「ええ・・・・・・では。失礼」
私は扉を閉めた。
静寂なんか訪れない。
「じゃーーーん!!!」
『SD』はやはりノックをすることもなく、楽しそうに笑いながら勢いよく扉を開ける。
面倒くさいキチガイだ。私は扉を閉めるのをやめて、本の続きを読み出した。
『SD』は私のシカトなど何のその、一人で私の部屋の扉を開けたり閉めたりを繰り返し始めた。
一人で開け閉め開け閉め開け閉め開け閉め開け閉め開け閉め開け閉め開け閉め開け閉め開け閉め開け閉め開け閉め開け閉め開け閉め開け閉め開け・・・・・・・・・・・彼は来年には三十歳。
「・・・・・・『SD』さん。私、本が読みたいので扉、閉めてもいいですか?」
「ああ、そうなんだ~。うん! いいよ~」
「どうも。では失礼します」
扉を閉め、すかさず私は内鍵を閉めた。
ようやく、これで静かになる。さて・・・・・・本の続きを・・・・・・。
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ・・・・・・・・!!!