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自殺旅行

第6章  大部屋



七十七日目

十二月三十日。朝食後。サイレンが響く。

サイレンと言っても本物ではなく『TG(♀)』という患者の声だ。

「アーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」

非常に長く大きな叫び? 声。七十歳は過ぎていそうな婆さん。

しかしなんたる声量!!! なんたる肺活量!!! ここまで凄いといっそ素晴らしい!!!

『観察室』から響き渡るサイレン。

米兵でも来るのかい? B:29の襲撃かい? ベトコンの襲来かい?

厄介な事に『TG』元気いっぱいに動けるのだ。暴れてドアを叩きまくり、気がつきゃ腕骨折☆





かなり前から思っていた私の疑惑・・・・・・「ここは地獄なのでは~?」説を『メリット』に話してみた。

私はあの日あの時、実はちゃんと死ねていて・・・・・・ここは地獄でみんな実は地獄の鬼や悪魔たちで、台本か何かあって役とかも決まっていて・・・・・・私はまだ死んでいないって、思い込ませて・・・・・・・・・・・・・・・みたいな☆

「仮名さんそれ何て言う地獄ですか?」

「ん~~~・・・・・・『ぬるま湯地獄』かな・・・・・」

『メリット』は笑った。


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