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自殺旅行

第2章 自殺旅行

「これ何本に見えますか?」
お前もか!!!
突っ込みたいのをこらえ、冷静に答えた。
「意識は大丈夫そうですね。お名前は?」
「仮名です」

今でも思うのだが、よくあんな状態状況の中でも偽名を言えたな~と感心する。
職業病か?源氏名を使う仕事を長いことしていたからかな?
「 仮名さんね・・・。今どうしてここにいるか分かりますか? 」
「 はあ、だいたい・・・・・・ホテルで、首、絞めて・・・・・・ 」
激痛ながらもなんとか身体は動かせそうだ。
少し起きてみる。
いぃぃっっっっっっっっっっっっっっっっっっっってぇぇぇぇぇぇ?!?!

鈍痛が首から背中から腰から響く。

超!!いいぃぃっっっっってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
左腕に点滴が刺さっているのに気づいた。
あっ、点滴初めて☆
「ああ、無理しないでいいですよ。で・・・首・・・それ、自分で?」
「はい。自分で絞めました」
「自分で?!」
刑事同士が目を合わせあって驚いている。
「本当に・・・・・・・自分、で?」
「はい、本当に自分で絞めました」
「本当に?・・・・・・誰かに絞められたんじゃ・・・・・・?」
「いえ。自分で、です」
「本当に?」
・・・・・・なんか、しつこいんですけど!
本当なんだから「はい」としか、答えられないんですけど!!!
「本当です。誰にも何も、されてません。自分で絞めました」
「・・・・・・痕がね・・・・・・自分で絞めたにしては痕が・・・・・・」
「は、あ。でも自分で絞めました」
「いや・・・・・・誰かいたんじゃないの?自分でって、痕がね。痕が・・・・・・かなり酷いんで・・・・・・」
「一人です。自分で絞めました。躊躇はなかったので」
「ああ、そうなんだ・・・・・・」

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