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自殺旅行

第2章 自殺旅行

「わぁ~~~~~・・・・・・牢屋だ~~~・・・・・・」

思わず声が出た。といってもまだまだきったない音ですが。

「牢屋じゃないですよ~」

女性は苦笑していますが・・・・・・。

牢屋じゃん!!! これ! ここ!

独房じゃん!!! これ! ここ!

薄暗い照明にうっすらと照らし出されている場所はどこからどう見ても牢屋にしか見えなかった。

映画とかで見たような灰色ではないけれど。

クリーム色の独房。

入り口の分厚く重そうな鉄の扉。その扉を背にして左右は壁。正面は天井から床まで貫く一面の鉄格子。その数36本。

「とりあえず今日はここでゆっくり休んでくださいね。何か飲みますか? と言っても水かお茶しかないんですが」

「・・・・・・じゃあ、お水を。それと私今生理中なので、荷物の中に生理用品があると思うので・・・・・・」

「分かりました。じゃあ、少し待っててくださいね」

看護師が部屋を出た。重い鉄の扉が閉まり、ガチャン! ガチャン! と頑丈そうな鍵を閉める音が響いた。

静かになった独房をおぼつかない足取りで歩く。歩くと言っても赤子が『ハイハイ』する感じで、ぐらつきながら。

鉄格子に触ってみた。ひんやりと冷たい。

人生って本当にどうなるか分からないなぁ~~~・・・・・・。まさか自分が牢屋に入れられる日が来ようとは・・・・・・。

私はただ、死にたいだけなんだけどな・・・・・・。

コンコン。ノックがして仰々しい解錠の音がし、ドアが開いた。女性が紙コップを手渡してくれた。お水だ。一口飲んだ・・・・・・。もういらない。

今の私の身体はどうやら水すら受け付けないらしい。

そして女性は出て行った。

重々しい鉄の扉に仰々しい施錠の音を響かせて。

そして静寂。・・・・・・静かだな~と思ったのもつかの間、声が聞こえてきた。女性の声だ。

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