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自殺旅行

第2章 自殺旅行


「生理用品ってこれですか? 今必要なのはどれですか?」

鉄格子の向こうに女性が現れた。私の私物の巾着を持って。

「それです。袋ごと下さい」

「すみません。規則でその部屋の中には何も持ち込めないんですよ。必要な時に言ってくださいね」

また『規則』。

「そう・・・・・・ですか・・・・・・。じゃあ、中に入っているもの1つずつ下さい」

「はい・・・・・・これとこれですね? どうぞ。あと、ゴミはこれに入れてくださいね~」

渡されたのは新聞広告を繋ぎ合わせた簡素な『袋』だ。

「では今日はゆっくり休んでくださいね~。そうそう・・・・・・ここがどんな所か分かります?」

「・・・・・・はい。なんとなく・・・・・・」

「そうですか・・・・・では、お休みなさい」

「お休みなさい・・・・・・」

女性は廊下の端へと消えていった。

そう。ここは精神病院。

閉鎖病棟の中の中。奥の奥。

今まで内科や外科にすらほとんどかかったこともない私が、ましてや一度もかかったことがない精神病院に突っ込まれる事になるなんて・・・・・・35年間一度も想像した事もない。

まさに『事実は小説よりも奇なり』だ。

あっ! 私、入院するの初めてだ~★

キチガイさんいらっしゃ~~~い♪

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