自殺旅行
第3章 独房生活
一日目
足音がする。身体が軋む。痛い・・・・・・。首・・・・・・動かない・・・・・・痛い! なんだこの痛みは・・・・・・?!
声が聞こえる。
「・・・・・・でー。れいーれなーれいなー・・・・・・ちゃーちゃんとこおいでー・・・・・・」
ああそうだ・・・・・・昨日、私・・・・・・。
目を開ける。朝だと分かるくらい昨夜よりは明るい独房内。
身体を起こそうと試みる。・・・・・・!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 悶絶すら出来ない鈍痛が首から下を走り回る。
あまりの痛みに自然と涙が滲んだ。
三十路の身体に鞭打ちまくってどうにかこうにか時間をかけて、身体を起こした。
床に目をやると元気いっぱいの幻覚の『蛇』達。やあ、おはよう。
動かない首。鈍痛に喘ぐ身体。クリーム色の何処をどう見ても紛れもない独房。床と同系色の数百の蛇達。
コンコン。ノック音がし、鉄の扉をゆっくりと見ると床から150㌢ほどの所にガラス張りの覗き窓があり、そこから男性看護師が爽やかな笑顔を投げ掛けてきた。
「おはようございます! 昨夜は眠れましたか?」
ガチャリ! ガチャリ! と大げさな解錠の音がし、鉄の扉を開けて入ってきて、笑顔と同様に爽やかに聞いてきた。
「はあ・・・・・・まあ・・・・・・」
「それは良かった。少し待っててくださいね。もうすぐ朝食ですから」
そう言って看護師は出て行った。ガチャリ! ガチャン!! と施錠音を響かせて。
朝食? ・・・・・・ご飯? ・・・・・・いらない。まったく。全然。一切。いらない。食欲など皆無だ。乾きもない。
ただ、今日はここを出て吊り場所探しに行って・・・・・・そうだ、お金・・・・・・あといくら残ってるかな?