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自殺旅行

第3章 独房生活

なんとかかんとか、どうにかこうにか生理の処理を終え、鈍痛に悶え・・・・・・喘ぎながらもベッドマットの上に座る。

「ひゃ~くね~んさ~きも~~君を~思うよ~~~・・・・・・♪」

聞こえてきたのは男性のさほど上手くはない歌声。

「おいでー・・・・・・ちゃーちゃんとこおいでー・・・・・・」

何かを呼んでいる女性の声。

どちらもなかなかの音量だ。なるほど・・・・・・さすが精神病院。さすが『アレ』な方々だ。

恥じらいみたいなものはないのかい? 他人の事は気にならないのかい? 自分だけの世界なのかい?

「おいでーちゃーちゃん・・・・・・とこ・・・・・・お腹すいたーーー! ねえ~? ご飯まだー? ちょっとーーー! ねえ~~~! ちゃーちゃんお腹すいたんだけどーーーーー!!! ねぇ~~~~~~~~!!!!!!」

女性の声が一段と大きくなった。

「回れま~~われメリゴーラン♪ もうけし~てんふふふ~~~・・・・・・ように~♪」

男性は気にすることもなく先程とは違う歌を歌う。

『アレ』な方々に挟まれて私はどうしたもんかと・・・・・・蛇を眺める。



「はいどうぞ~。ゆっくり食べてくださいね~」

朝食。四角い盆に乗せられて来たのは『白米』『味噌汁』『漬物(?)』『ふりかけ』『牛乳』だ。

「あっ、テーブルがないのか~・・・・・・ちょっと待っててくださいね」

盆をベッドマットの上に置き看護師は部屋を出て行った。私はただぼーーっと鉄格子を眺めていた。

ほどなくして戻ってきた看護師が手にしていたのは段ボールに包装紙を貼り付けた『テーブル』だった。 その段ボールの上に盆を置き看護師は扉を施錠して出て行った。

相変わらず私の食欲はゼロで、一切手をつけることはなかった。

10分くらいだろうか、時間を置いて看護師が部屋へ入ってきた。ぼーーーっと座っているだけの私に話しかけた。

「食欲ありませんか? 少しだけでも食べませんか?」

「・・・・・・」

返事をすることが面倒だった。どうにか「いらない」と言う事だけは伝え、食事を下げていただいた。

何かを呼ぶ女性は、食事の間もずーーーーーーーーー・・・・・・っと大きな独り言を喋り続けている。

『黙る』時は寝ている時だけなのだろうか?

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