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自殺旅行

第3章 独房生活

二日目

「おはようございます! よく眠れましたか?」

元気な看護師の声で目を覚ました。

頷くだけの私の目に写るのはいまだ数百匹はいる『蛇』。今日も元気で何よりだ♪

生まれて初めて飲んだ睡眠薬。しかも大量。そして生来のぶっ壊れた睡眠欲も重なってか、こんな訳の分からない状況下でも問題なく爆☆ 睡! 我ながらたいした精神だ。

朝食。今日も無理です。いらないです。変わらず受け付けません。

食事を下げに来た看護師も困っている。

分かる。分かるよ。昨日から何も食べようとしない人間。・・・・・・どう見ても独房だけど★ ここは病院。そりゃ食べてもらわな困るよね~。でもね? 本当にいらないのだから仕方ない。

「ダメですか? 少しも無理そうですか? ・・・・・・そうだ! パンもありますよ? パンならどうですか? と言っても明日、明後日からになりますが・・・・・・どうですか?」

いらない。激しく痛む首をなんとか横に振り拒否するが、さすがに今日は看護師もなかなか折れない。

私はなんだか面倒臭くなり、僅かに頷いた。そしてようやく朝食を下げていただいた。




「れいーれなーれいなーちゃーちゃんとこおいでー・・・・・・ちゃーちゃんとこー・・・・・・ちゃーちゃんねー§?±ÅΩ×∇※…∞ だよー」

今日も右側から女性の大きな独り言が聞こえる。所々なまりがキツいのか『アレ』な人だからなのか、何を言っているのか全く聞き取れない。

「あーーー・・・・・・シュークリーム食べた~い! チョコレートも食べた~い! バケツプリンも食べた~~~い! ・・・・・・ねえ! 買って来て? ねえ! 誰か! ・・・・・・ねえってば!!!」

女性の大きな独り言はずっと続く。頼みは叶いそうにないが。

そして左側からは男性の歌声。

みんな不自由の中でもそれなりに自由で楽しそうだ。

私は・・・・・・早く死にた~~~い★

昼食も無理。いらない。いらない。いらない。いらない。いらない。なんにもいらない。欲しい物・・・・・・ああ1つだけあるな。

紐。ロープ。リード。返して欲しいな~。勿論返してはもらえない。

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