自殺旅行
第3章 独房生活
ドキドキする。わくわくする。
首の後ろで交差してゆっくり絞めてみる。
少し斜め上に引っ張りながらゆっくり絞めた。久し振りの感覚。苦しくはない。痛みも感じない。
ゆっくり少しずつ強く強く・・・・・・。
頭がふわりと浮く感じ・・・・・・肘と膝がガクガクと激しく痙攣する。
立っていられない。あぁ・・・・・・飛びそうだ・・・・・・。ベッドマットに膝から崩折れる。首から紐を解く。
安心した。嬉しい。嬉しい。嬉しい。嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい!!!
私はまだ余裕で逝ける! 『首吊り』で逝ける! 痛みも苦しみもなかった! あのまま続けていたら今ごろ確実に飛んでいただろう!
嬉しい!!! 嬉しい!!! 嬉しい!!! 嬉しい!!! 嬉しい!!!
『練習』は間違いじゃなかったんだ!
私は紐をポケットにしまい、ポケットの中で紐を握り締めた。
なんだか安心する。これでいつでも絞めれると思うと嬉しくて仕方がなかった。
ヒョロ助と話す事は今のところ何もない。申請が終わらないと何も進まない。ここから出ることさえできない。
「ヒマです・・・・・・」
「でしょうね~~~。何か要望みたいなものはありますか? ・・・・・・ここから出せ! は、もう少し待っててくださいね? あと、紐くれ! もムリですよ~?」
紐・・・・・・ポケットに突っ込んだままの手の中にあるんだな~~~ひ・も♪
ニヤけそうになる頬を堪える。
無邪気に笑う小動物ヒョロ助。
もう受け入れもしてしまったし、本名にもなってしまったし・・・・・・ポケットに紐もあるからか、私の心も少々穏やかだ。諦めも少しはあるのかもしれない。