
恋は甘い香りと共に
第2章 天気、あらし。
...とは言えず。
私はお弁当の包みを解きながら再び溜め息をついた。
藍川湊人は一瞬こっちを見たがもう何も言わなかった。
黄色の丸い二段弁当の蓋をあける。
「何それうまそう」
珍しく藍川が身を乗り出してきて興味を示した。
「はあ?こんなの手抜きだよ。昨日の夕飯の残りと朝ちょちょって作ったやつ詰めただけだし」
藍川湊人がうまそうだと思うようなものは何も入っておらず、おにぎりとか煮物とか庶民的なものばかりだ。
「…おまえが作ったの」
その声には驚きが含まれていて。
「あたしが作れちゃ悪い?言っとくけどあたしそんなガサツじゃないからね!!」
