
恋は甘い香りと共に
第2章 天気、あらし。
「あーもううるさいっ!!!あんな手抜き弁当の何が良いのさ⁉」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ彼らがいっせいにこちらを向いた。
その3人が揃って全員イケメンなんだから腹が立つ。
「えーだってさ、手作りなんて愛がこもってるものしばらく食べてないし…」
「あたしはこの自分のための弁当に愛を込めた覚えはない!それにあんたらがそう望んだら学校中の女の子達が山程手作り弁当持ってきてくれるぞ」
ああ、何で息切れするほどの勢いでツッこんでんだあたし。
「やっぱケーキ屋の娘が作ったやつは違うじゃん?」
「ケーキ屋と弁当全く関係ないから!」
…適当な事言うなよ本当。
「…切り干し大根…うまかった」
突然そんな声がボソっと聞こえた。
ばっと顔を上げると藍川湊人はもうこちらを向いていなくて。
その発言に対して二人がまたギャーギャー騒ぐけれどもう耳に入ってこなかった。
