
恋は甘い香りと共に
第2章 天気、あらし。
私は知っている。
多分1番の彼の弱みを。
「陸上部の柚木先輩」
私の腕を掴んでいる手が一瞬ぴくりと動いた。
細かった目がゆっくりと大きく見開かれていく。
「好きなんでしょ?先輩のこと」
彼の顔に浮かんでいた薄ら笑いが完全に消えた。
「なっ…んで」
「運動馬鹿だからってあんまり私を舐めないでくれる?これでも一応女子だよ?」
うわ、決まった!
私今すげーかっこいい!
しゅうう、という音が聞こえてきそうなように彼は一気に脱力して私の上に倒れた。
「ぎゃおぅえっ…!」
慌てて金山悠を押すとあっけなく横に転がった。
「ばか!私を潰す気かよ!」
