
恋は甘い香りと共に
第2章 天気、あらし。
ガクッと金山が倒れこんだ。
「…はあ?か、勘?」
「んーまあ」
「なんだよそれ」
「まあ、一応根拠はあるよ? 私が陸上部の中長距離の方の練習に出てた時、よくあんたらのこと見かけたんだよね。土手の方から外部眺めてたでしょ?」
そう。こいつらが見てると周りのやる気がまるで違うからすぐにわかった。
「そん時大抵ショウは騒いでる女の子たちとベタベタしてて、藍川は寝てるかぼんやり見てるかで、真剣に見てるのはあんただけだった」
確認するように金山を見ると小さく微笑んで頷いた。
…あ、今。素だな。
「最初はサッカー部でも見てんのかと思ったけど、にしては目線が違かったから陸上部だと思って。で、まさかあんたみたいな人が浮ついてる女の子なんか見るわけないなーと思ってたら」
陸上部に顔を出して3日目くらいの、雨の降り出しそうな日だった。
