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恋は甘い香りと共に

第2章 天気、あらし。





その日はたまたま隣を走っていたのは柚木先輩で。



彼女はほんとに走ることに真面目で、あの三人組がいてもいなくてもまるで走りが変わる様子も見せずに淡々と足を動かしていた。



あまり話したことはなかったけど、この人なんかいいな、と思った時に先輩が不意に口を開いた。



「…雨、降りそうね。今日は多分早く終わる。…あのこたち傘あるのかな」



最後の方は独り言に近い声で聞こえにくかったから、聞き間違いでもしたのかと思った。



「あの子たちって誰のことですか?」



「ん?ああ、いつもあそこで見てるあの子たちのこと。1人中学の後輩なんだよね。あんま話したことないけど」




それでピンっときた。




その1人が誰なのか。




そしてその1人が見てる人が誰なのか。




「…ってこと。それだけで確信はなかったんだけどねー。ビンゴ?」




一通り話し終えて彼の方を見ると、彼は顔を手で覆っていた。




「…え、何どうした。ちょ、…え?」




なんなんだ今度は。




「…やばい」







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