恋は甘い香りと共に
第2章 天気、あらし。
「だからそのままでいーのかって聞いてんの」
「…いや」
「柚木先輩はあんたも思ってるとおり浮ついたところがない人だよ。そんな人が今の可愛いこぶってる金山悠に惹かれる訳がない」
すっと通った鼻先と、切れ長で凛としてるけど優しげな目元、真っ黒で胸まである髪を高い位置でまとめたポニーテール。
規則正しい正確なランニングフォーム、苦しい時でもほぼ変わらないペース、走りに対するひた向きさ。
中長の影のエース、柚木先輩は私の憧れの先輩でもある。
だから、わかる。
柚木先輩はただのおちゃらけてるイケメンなんて見もしない。
「んなこと言われたって…第一俺と先輩接点ないし」
「…なーに言ってんの」
「は?」
「ここで繋がったじゃん」
「…?」